親の力、親会の力
西本賢治
高星会ニュースより
 その父ちゃんの横にいる母ちゃんの話もあるのですが、字数の関係で書けません。
 その父ちゃんは決してまじめとは言えません。酒は好きだしタバコはよく吸うし、調子に乗ってスピード出して免停くらったりもしてました。話してると脱線して困らせてくれます。しかしその父ちゃん、親会となると必ず顔を出します。講演ではいつも一番前の真ん中に陣取ります。そして、講師のちょっとしたジョークに真っ先に反応し、口を開けて大声で笑います。夜は夜で遅くまで学年関係なくいろんな人としゃべってます。もちろん酔ってるけど、結構真剣な顔で話してます。
 
 それが3年間続きました。
 
 子どもは最初しばらくあんまり学園に気持ちが向いてませんでした。父ちゃんは、ことあるごとに学園に来てました。あちこちでよく顔を見ました。笑顔をよく見ました。子どもより先に馴染んで、学園を自分で楽しんでました。
 その子は、1年生のときに自分で自分に課題をつくりました。家でひとりで頑張るけど、なかなか達成できませんでした。何度か挫折し、いら立ったり、背を向けたり、その話題を避けたりしてました。そんな様子で2年近く経ちました。また課題に頑張れるようになったその子は、いつしか学園でスタッフと一緒にやるようになってました。達成できない自分を友達にさらけ出すことも平気になっていきました。でもすぐにはうまくいきませんでした。毎日毎日少しずつやりました。気がつくとすごい量になってました。しばらくして、とうとうその子は自分で決めた課題を達成しました。
 その子がそうやって変わっていった中で見えてきたのが「安心感」でした。人に頼れる安心、少しずつでいい安心、失敗したらまた向かえばいい安心、離れないで支えてくれる友だちがいる安心。それは、カッコつけず力まず素のままでいいという、その子にとってとてつもなく大きな安心感です。時間をかけてようやくつかんだその安心感の中で、いらんことを気にせず正面から課題に向かうことができたんだと感じました。そして、その安心感の源になっているのが、親からの安心だと気づきました。父親の3年間の学園への関わりや姿なしには、その子の学園での安心はなかったと思います。ある時、投げやりになって荒れている我が子に向かって、「(うまくいかなくても)そんなことでお前を絶対見捨てへんからなっ」と叫んだそうです。子への強い思いが、いろんな形で伝わってその子は安心でき、多くのものを得ることにつながったんだと思います。
 これは一つの例です。

 この3年間、特に最後の1年は、生徒一人ひとりの姿の後ろにある親の存在の大きさをその時々で感じました。そして、その親同士が安心してつながれる場でもある親会の力のすごさも感じました。さっきの父ちゃんの話も親会が大きく関わっています。親の力が子に向けてしっかり活かされることにつながる親会です。ずっとそうであって欲しいと強く願います。
 
<前へ>    <次へ>