かけがえのない時間

男子 母 (奨学金作文より)

「行ける高校はありませんよ。」そう担任に言われた中三の夏。悲しみや嘆きというよりは『そんなことはない!!』という熱い何かが湧き上がってきました。高校に行って大学に進学したいという子供の気持ちをそんな一言で消されてたまるか。この子が高校に行きたいというのなら、この子が行ける学校が必ずあるはず。そんな思いでたどり着いたのが生野学園でした。入学が決まった日は本当に嬉しかった。
 とはいえ、高校一年は不安でいっぱいでした。知らない土地での寮生活、人付き合い、不登校という過去・・・。帰宅日に帰ってくる度に、もう学校に行かないのではないか、週の途中で帰るって言いだすのではないかといつも私はビクビクしていました。
 最初の変化は体育祭でした。行事が苦手な子供は体育祭を嫌がっていました。夏休みの間もずっとイヤだ、やりたくないと言いつづけていました。やりたくないならやりたくないとスタッフに言ってみなよ。そう言ってやることしか私にはできませんでした。小学校中学校の時と生野学園は違うかもしれへんで。
 そして体育祭当日。最初の競技の障害物競走のスタートラインに立っている子供の姿がみえました。私はびっくりしました。後から聞いたのですが、当日になって出てみよかなと自分から言いだして参加したそうです。
 子供に何があったかは分かりません。でも何かが心に影響し行動が変わったのです。その何かがを言葉で上手く表現できなくてもどかしいのですが、言葉で表せない何かが生野学園にあることは確かです。
 それから子供は学園生活を子供なりに謳歌したのではないかと思います。
 二年生の体育祭では実行委員になり、学園祭ではステージに立ちました。金曜日に帰宅し月曜日に帰園するのが当たり前になりました。
 三年生になると更に成長は加速したように思います。生野ストック、修学旅行、卒業展示、卒業式などたくさんの行事にも参加し、その子供の姿を見ることができ、私は幸せでした。
 いつも側で子供を見守り気遣って下さったスタッフの方々、親会、OB会の皆様、学園の仲間達、そして直接的に又間接的に関わりをもっていただいた全ての方々にお礼を申し上げます。
 生野学園があってよかった。生野学園に出会えてよかった。生野学園で学べてよかったと心から思います。
 生野学園を卒業した子供は、自分の夢に向かい進んでいます。その歩みは遅くとも、その歩幅は小さくとも、まっすぐ前を見ています。
 不登校になった中学生の時にもった自分の夢。その希望の光を閉ざすことなく大きく大切に育てることができた生野学園三年間はかけがえのない時間でした。
 本当にありがとうございました。
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