コロナ禍のもとでの学園祭
例年でしたら11月3日に開催していた生野学園の学園祭ですが、今年は現役の生徒と保護者だけで10月31日に開催しました。
新型コロナウイルスの感染がなかなか終息に向かわない状況の中で、2学期の初めから「学園祭はできるんだろうか?」「やるとしたらどんな形にしたらいいんだろうか?」ということを生徒、スタッフともに考え、議論をしてきた結果、こういう形になりました。
例年の学園祭は地域の方、卒業生とその保護者など500名を超える方が来園され、体育館でのステージ、数多くの模擬店、親の会が主催されるバザーなどが実施される大きなイベントです。
その状況では様々な地域から来られる方が狭い空間で混ざり合い感染の危険が避けられないことや、生野学園の位置する栃原の村では老人の方が多いことなどを考えると、例年通りの開催は難しいだろうと判断し、今年は外部の方をお招きすることは差し控え、生徒、保護者、スタッフだけで「校内祭」という形で実施することになったのです。

ただ「校内祭」といってもやはり「お祭り」なので日常とは違う動きになります。そこで気を抜けば当然感染の危険は増加します。そのため「何らかの制限」はどうしても必要になるし、かと言って「制限」をかけ過ぎて萎縮してしまっては「お祭り」としての楽しさが失われてしまいます。
そこから試行錯誤が始まりました。
まず大きなところでは「野外でのステージ」「模擬店の数の制限」「親と子のエリア分け」といったことが必要だろうという方向が決まりました。
ただ、いざそれを実現しようと思うと初めてのことが多く、意見の相違やお互いがイメージしている内容に差があったりして、話し合いや調整が必要となりました。
中心となっていた実行委員会の子や担当スタッフ、そして親の会の担当の方がそうした役割を担い本当に大変だったと思います。
しかし、それを「マイナス」にばかりとらえず、そんな状況の中でも「どうしたら楽しい学園祭を実現できるだろうか」という姿勢で最後まで臨んでくれたことは素晴らしかったと思います。

そして当日は天気にも恵まれ、それぞれが決められたルールを意識しながらも萎縮することなく「学園祭」を楽しむことができました。
エンディングで実行委員会の子どもたちが「制限があって大変だったけど学園祭らしさを失わず、楽しい学園祭にすることができた」と言うのを聞き本当にうれしく思い、「今でしかできない経験」ができたのだと実感しました。

以上、お招きできなかった皆様には申し訳ありませんが、今年も「意味のある学園祭」を実現できたことをご報告させていただきます。

二学期の開始から2ヶ月がたちました。
この2ヶ月を通して感じたことは子どもたちにとってやはり「同じ場所と同じ時間を共有すること」「同じ世界を生きること」が本当に重要だということです。
寮生活を休止していた時期に「次善策」としてオンラインによる授業や集会を実施しました。
今のIT を使えばリアルタイムで映像と音声を伝えることはできますが、実際に五感をつかって同じ世界を「生きる」ことで得られる情報量とは雲泥の差があると感じました。
オンラインでは画像はあっても伝わるのはやはり「言語化」された内容であり、それ以前の「感覚的な部分」の共有は難しいと思います。
知識の伝達に限ればオンラインでも十分に可能かもしれません。ある程度の読解力、表現力、思考力をすでに獲得している大学生ぐらいになれば、それでかなりのことが伝わると思います。
しかし、そうした力を獲得していく段階の子どもたちにとっては、年齢が低くければ低いほど、言語以前の「感覚的な部分」の重要性が増すのではないでしょうか。
その意味で、やはり子どもたちにとって「生活をともにすること」が欠かせないと思うのです。

ただ一方で新型コロナウイルス感染防止の観点からすれば「生活の共有」には「感染のリスク」が伴います。 これから寒くなり、これまでのように換気がしにくくなることも考えると難しい状況は続きますが、なんとか安全な寮生活を維持していきたいと思っています。
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